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神秘なる斜めの線

私はよく「宇宙は幾何学的な構造を持っている。」と言っています。 そして宇宙は一本の斜めの線から出来上がってきていると言っています。 斜めとは「開き」を意味します。 そしてそこから運動と物の、生成と破壊という変化が起きてきています。

宇宙はこの様に、宇宙根源の「開き」という角度を持った「原始意志」によって動いています。 その斜めの角度は、決まりきり、固まりきった合理的なものではなく、なめらかに物を処理する半導体的な性格を持っています。

私はある日、この広い空間の性質を半導体的空間と考えたことがあります。 半導体というものは簡単に言って、穴の開いたものと、穴の詰まったものとの組み合わせになっています。 その詰まったものが開いている方に流れこむ、そしてそれが自動的に速やかな運動を起こす、というような構造になっています。

…そこで私は、その半導体的な宇宙空間の穴(開き)と、そこに起きる運動を想像し、味わいながら、空を眺めて庭を掃除していたのです。 するとその時、私の手が急に斜めに上がり、ホウキを持ったまま踊り始めたのです ふいの出来事だったのでびっくりしました。

…踊ろうと思っていなかった。 それなのに開きと運動を考えた途端、私の体は斜めになって両手を上げて踊ってしまったのです。 これを宇宙の踊りとも言うのでしょうね。 不思議な事も起きるものですね。 ふいに両手を上げて宇宙に吸い込まれるようになったのです。 人は、はすかいをイメージするとその開きの系の中へ吸い込まれ、踊り入ってしまうのですね。

こういう動きを起こさせる、「開き」と「斜め」のただの一本の線と角度、それが又自分達の魂の古里への入口なのですね。

……この話を聞いていたある青年が、「斜めって素晴らしいですね。私の踊りの先生もそう言っていました。 体が宇宙の隙間に斜めに入れた時は、物凄く立派に踊れた。 しかしそういう事は一生で二、三回しかなかったと……。」と踊りの先生のことを話してくれました。 宇宙はこの様にして、斜めの線の角度から、運動とエネルギーが創られてくるのでしょうね。